NHK連続テレビ小説『風、薫る』第17週「脈動」を視聴しました。
第16週では、文さん(内田慈)が直美(上坂樹里)の母親かもしれないという展開に、正直かなり戸惑いました。
それまでの物語の中で、二人の関係を想像させる描写が少なかったため、「ここにきて急に母親が登場するの?」と感じたからです。
しかし、第17週を見終えると、その印象は大きく変わりました。
文さんが直美に向けていた愛情や、最後まで母親と名乗らなかった理由が少しずつ伝わってきて、今週は本当に良かったです。特に終盤は、何度も泣いてしまいました。
文さんの選択を見て感じたことや、自分が直美の立場だったらどう思うかも含めて、第17週の感想を書いていきます。
※この記事には、第17週のネタバレが含まれています。
『風、薫る』第17週「脈動」のあらすじ
直美は、文さんが自分の母親ではないかと考え、過去を調べ始めます。
一方、文さんの病状は想像していた以上に深刻でした。
環(英茉)からの手紙を受け取ったりん(見上愛)は新潟から戻り、文さんのもとへ向かうべきか迷う直美の背中を押します。
文さんと再会した直美は、海の見える神社で一緒に過ごします。しかし、文さんは最後まで自分が母親であるとは名乗りませんでした。
その後、文さんは静かに人生を閉じます。
直美は文さんを看取る中で、母親だったのではないかという思いを抱えながらも、本人の口から真実を聞くことはできませんでした。
第16週では、文さんの登場を突然に感じていた
第16週を見た時点では、文さんと直美の関係にうまく気持ちがついていきませんでした。
文さんが直美の母親かもしれないこと自体は気になりましたが、それ以上に「これまでに何か伏線があっただろうか」という戸惑いが残りました。
直美が実の母親を気にしている様子は、これまでにも描かれていました。そのため、直美が文さんの過去を調べようとする流れ自体には違和感がありませんでした。
私が戸惑ったのは、文さんが直美の母親かもしれないという展開が、急に出てきたように感じたことです。
それまでの物語では、文さんと直美を結びつける手がかりがあまり描かれていなかったため、第16週の段階では気持ちが追いつきませんでした。
ただ、第17週では、文さんが過去の事情をすべて説明することよりも、成長した直美を見届けることに重点が置かれていました。
文さんの表情や直美を見つめる姿から、離れて暮らしていた間も娘を思い続けていたことが伝わってきました。
第16週で感じた展開の唐突さが、すべて消えたわけではありません。それでも、文さんが直美に向けていた愛情には納得できました。
文さんが最後まで母親と名乗らなかった理由
第17週で最も心に残ったのは、文さんが最後まで「私が母親です」と名乗らなかったことです。
直美と再会できたのだから、亡くなる前に本当のことを伝えてもよかったはずです。
それでも文さんは、自分の正体を明かしませんでした。
私は、文さんには直美へ真実を伝えたい気持ちがあったと思います。それと同時に、今さら母親と名乗ることで直美の心を乱したくないという思いもあったのではないでしょうか。
長い間そばにいることができなかった自分が、残された時間がわずかになってから母親と名乗る。
文さんにとって、それは自分の気持ちを楽にするための行動にも思えたのかもしれません。
直美は看護師として自分の道を歩み、周囲には直美を大切に思う人たちがいます。
その姿を見て、「この子はもう大丈夫」と感じたからこそ、母親として認めてもらうことより、静かに見守ることを選んだように見えました。
名乗らなかったからといって、愛情がなかったわけではありません。
自分の存在を直美の中へ強く残さないことが、文さんなりの最後の愛情だったのだと思います。
文さんの判断には賛成。ただ、これが唯一の正解とは思わない
文さんが母親と名乗らなかった判断について、私は賛成寄りです。
直美と再会した時点で、文さんに残された時間は多くありませんでした。
そこで母親だと明かせば、直美はようやく母親と出会えた直後に、もう一度その母親を失うことになります。
真実を知れた喜びよりも、「なぜもっと早く名乗ってくれなかったのか」「どうして自分を残していったのか」という悲しみや怒りのほうが大きくなる可能性もあります。
文さんは、自分が亡くなったあとも直美が前を向いて生きていけるように、あえて母親という立場を求めなかったのではないでしょうか。
ただし、名乗らないことが唯一の正解だったとは思いません。
文さんが直美を思って選んだことだとしても、その選択によって、直美は真実を本人から聞く機会を失いました。
母親として名乗るかどうかを文さんだけで決めてしまったともいえます。
相手を傷つけないための優しさと、真実を知らないまま残されるつらさ。どちらが正しいとは簡単に決められません。
だからこそ、文さんの選択には納得しながらも、少し切なさが残りました。
自分が直美の立場なら、本人の口から聞きたかった
もし自分が直美の立場だったら、たとえ一緒に過ごせる時間が短くても、文さんの口から真実を聞きたかったと思います。
母親だったと分かれば、なぜ離れて暮らすことになったのか、これまでどのような気持ちで生きてきたのかを聞きたくなります。
もちろん、真実を知れば苦しむかもしれません。
母親と分かり合えないまま別れる可能性もあります。それでも、自分の人生に関わる大切なことだからこそ、知らないまま終わるより、自分で受け止めたかったと思います。
直美も、文さんが母親ではないかと疑い、過去を調べていました。
それだけ直美の中にも、本当のことを知りたい気持ちがあったのでしょう。
文さんの判断は直美を守るためのものでしたが、直美にとっては、たとえ傷ついても母親と向き合いたい時間だったかもしれません。
名乗らなかった文さんの気持ちも分かります。
一方で、名乗ってほしかったであろう直美の気持ちも分かります。
どちらか一方だけを正しいと描かなかったところが、第17週で心に残った部分でした。
直美はもう一人ではない
文さんが安心して直美を託せたと思えたのは、直美の周囲に支えてくれる人たちがいたからです。
りんや環、寛太(藤原季節)、吉江先生(原田泰造)、藤田先生(坂口涼太郎)、そして美津さん(水野美紀)。
直美は多くの人と出会い、支えられながら看護師として歩んできました。
特に心に残ったのが、美津さんの言葉です。
「私は直美さんの、二人目の母ですからね」
「よくやりました……よく頑張りました」
この言葉を聞いて直美が感情をあふれさせる場面では、私も涙が止まりませんでした。
直美にとって文さんは、最後まで母親だと確かめることができなかった人です。
しかし、直美には、これまでそばで見守ってきた美津さんがいます。
実の母親との別れを迎えたかもしれない直美へ、美津さんが「二人目の母」と伝えたことで、直美の孤独が少しだけ救われたように感じました。
親子の関係は、血のつながりだけで決まるものではありません。
文さんは直美を産んだ母親として、最後に成長した姿を見届けました。一方、美津さんは直美と共に過ごしながら、その成長を支えてきました。
二人の母親が、それぞれ違う形で直美を思っていたことが伝わる場面でした。
藤田先生の言葉から感じた看護の役割
藤田先生の言葉も印象に残っています。
「治らない患者にも、病院へ来られない患者にも日々看護は必要だから」
病気を治すことだけが、医療や看護の役割ではありません。
治療が難しい人にも、病院へ来られない人にも、その人らしく生きるための支えが必要です。
文さんの病気を治すことはできませんでした。
それでも直美は、文さんのそばにいて、最期の時間に寄り添うことができました。
文さんが直美へ真実を伝えなかったとしても、二人が一緒に過ごした時間までなくなるわけではありません。
母と娘として言葉を交わすことはできなくても、看護師と患者として出会い、直美が文さんの最期に寄り添えたことには大きな意味があったと思います。
藤田先生の言葉と文さんの最期が重なり、『風、薫る』が描こうとしている看護の役割が、これまで以上に伝わってきました。
第16週の戸惑いが、納得と涙に変わった
第16週では、文さんが直美の母親かもしれないという展開を突然に感じました。
しかし、第17週を見終えると、文さんを登場させた理由には納得できました。
大切だったのは、母親だと明かして感動的な再会を果たすことではありません。
長く離れていた母親が、成長した娘を見届け、何も求めずに去っていくことでした。
文さんが最後まで名乗らなかったからこそ、直美への愛情が強く伝わってきたのだと思います。
ただ、自分が直美なら真実を知りたかったという思いも残ります。
文さんの選択に納得しながら、直美の立場を考えると切なくなる。
単純に「母と娘が再会できてよかった」だけでは終われないところが、今週の物語の良さでした。
まとめ|名乗らずに見守ることも、文さんなりの愛情だった
『風、薫る』第17週「脈動」は、文さんと直美の関係に一つの区切りがついた一週間でした。
文さんが最後まで母親と名乗らなかった判断について、私は賛成寄りです。
母親として認めてもらうことではなく、今の直美を見届けることを選んだ。その決断に、文さんなりの愛情を感じました。
一方で、自分が直美の立場なら、たとえ別れがつらくなっても、本人の口から真実を聞きたかったと思います。
文さんの優しさと、真実を知らないまま残された直美の切なさ。その両方を感じたからこそ、今週は特に心に残りました。
第16週では突然の展開に戸惑いましたが、第17週を見終え、その戸惑いは納得と涙に変わりました。
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