『豊臣兄弟!』第36回感想|姫若子と鬼若子。長宗我部元親が魅力的だった

※この記事には、第36回「姫若子と鬼若子」のネタバレがあります。

『豊臣兄弟!』第36回「姫若子と鬼若子」は、秀長が総大将を務める四国攻めが描かれました。

今回、最も印象に残ったのは長宗我部元親(磯部寛之)です。

磯部寛之さんの演技、特に低く響く声がめちゃくちゃ良かった。

日本史が好きで教員免許も持っているので、元親の名前や、四国をほぼ統一するほど強かった武将であることは知っていました。

ただ、関ヶ原の戦い後に長宗我部家が改易され、大坂の陣後に滅亡する流れは知っていても、元親自身についてはあまり詳しくありませんでした。

今回の放送を見て、こんなに魅力的な人物だったのかと興味が湧きました。

そして、以前に小一郎と元親が交わした着物についての会話を、四国攻めの決着につなげた展開も良かったです。

前回、第35回では、小一郎が「秀長」と名乗った場面と、丹羽長秀との最後の会話について書きました。

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第36回「姫若子と鬼若子」のあらすじ

織田信雄(山脇辰哉)と和睦したことで、秀吉(池松壮亮)と家康(松下洸平)の戦はいったん収まりました。

しかし四国では、四国一統を目指す長宗我部元親が、秀吉に従うことを拒みます。

秀吉は、四国攻めの総大将に秀長(仲野太賀)を指名。

秀長は大軍を率いて四国へ渡り、元親の軍を追い詰めていきます。

それでも元親は降伏せず、最後まで戦おうとしていました。

そこで秀長は、一宮城に残されていた元親の着物を本人へ送ります。

それは、以前に二人が交わした会話を思い出させるものでした。

磯部寛之さんの低く響く声が良かった

今回の元親は、磯部寛之さんの声が特に印象に残りました。

低く響く声がとにかく良い。

[Alexandros]ではベース担当ですが、声まで格好良かったです。

元親が静かに話している場面でも、一つひとつの言葉に重みがありました。

四国一統を目前にしながら、それを秀吉に阻まれようとしている元親。

簡単には降伏できない意地も、戦を続けることへの迷いも伝わってきました。

これまで磯部寛之さんの演技をじっくり見たことはありませんでしたが、今回の元親はかなり印象に残りました。

美しい着物で、心の中の鬼を封じていた元親

元親は若いころ、その見た目やおとなしい振る舞いから「姫若子」と呼ばれていました。

しかし初陣で強さを見せ、その後は「鬼若子」と呼ばれる武将になります。

以前、小一郎が元親の美しい着物に目を留め、「なぜ、そのようなお召し物を?」と尋ねたことがありました。

元親は、美しいものが「好きじゃき」と答えます。

しかし、それだけではありませんでした。

四国統一を目指して戦に明け暮れるうちに、人を殺めることに何も感じなくなっている自分がいた。

元親は、そんな自分を恐ろしく感じていました。

だから美しいものに身を包み、心の中にいる鬼を封じていたのです。

戦で強さを見せたから「鬼若子」と呼ばれた一方で、元親自身は、自分が本当の鬼になってしまうことを恐れていた。

この話があったからこそ、今回の元親が最後まで戦おうとする姿は、見ていて苦しくなりました。

着物が、四国攻めを終わらせる鍵になった

羽柴軍に追い詰められても、元親は降伏しようとしませんでした。

最後まで戦い、四国と運命をともにするつもりだったのでしょう。

そんな元親に、秀長は一宮城に残されていた着物を送ります。

今の元親を説き伏せられるのは、以前に自分と話した、あのときの元親だけ。

秀長はそう考えました。

美しい着物を身にまとい、心の中の鬼を封じようとしていた元親。

その着物を目にしたことで、元親は、戦に明け暮れるなかで見失いかけていた自分を思い出したのではないでしょうか。

ただ降伏を迫るのではなく、元親自身に、かつて語ったことを思い出させる。

以前の着物をめぐる会話が、今回の四国攻めを終わらせる鍵になったところが良かったです。

秀長の「好きじゃき」に込められていたもの

降伏を決めた元親は、秀長に「なぜ、そこまでわしのことを」と尋ねます。

それに対する秀長の答えが、

「好きじゃき」

でした。

以前、元親が着物について聞かれたときに使った言葉です。

ただ、秀長は、同じ言葉をそのまま返しただけではないと思います。

元親は戦に慣れ、人を殺めることに何も感じなくなっていく自分を恐れていました。

戦を好んでいるわけではない。

それでも国を背負い、戦わなければならない。

秀長は、そんな元親のなかに、自分と通じるところを感じていたのかもしれません。

だから元親を力で滅ぼすのではなく、最後まで説得しようとした。

秀長の「好きじゃき」には、元親という人物への好意と、以前の会話を忘れていないという思いが込められていたように感じました。

史実かどうかはともかく、ドラマとして好きだった

着物を使って元親を降伏へ導いた展開が、どこまで史実に基づいているのかは分かりません。

ただ、今回は史実との違いを細かく考えるよりも、ドラマとしてうまく描かれていたと感じました。

「姫若子」と呼ばれた元親と、「鬼若子」と呼ばれるようになった元親。

その二つを、以前から身にまとっていた美しい着物でつないでいます。

戦では「鬼若子」と呼ばれるほどの強さを見せながら、本当の鬼になってしまうことを恐れていた。

その両面を描いたからこそ、「姫若子と鬼若子」という題名がしっくりくる回でした。

今回は秀長よりも、元親に目がいった

秀長は今回、四国攻めの総大将を任されました。

大軍を率いて元親を追い詰め、最後は以前の会話を思い出させることで降伏へ導いています。

秀長の成長を描いた回でもあったと思います。

ただ、正直なところ、今回は元親の印象が強く、秀長は少し薄く感じました。

前回は「家康が主人公だっけ?」と思うほど家康に引き込まれましたが、今回は元親に持っていかれた回でした。

これまで名前と強さしか知らなかった元親を、もっと知りたいと思えた。

それだけ磯部寛之さんの元親が魅力的だったのだと思います。

おわりに

第36回「姫若子と鬼若子」で最も印象に残ったのは、磯部寛之さんが演じた長宗我部元親でした。

特に、低く響く声が本当に良かったです。

四国一統を目指して戦い続けるうちに、人を殺めることに何も感じなくなった自分を恐れていた元親。

美しい着物を身にまとって心の中の鬼を封じていたという話が、今回の降伏につながる展開も好きでした。

名前や強さは知っていても、人物としてはあまり詳しくなかった元親。

今回の放送で、一気に興味が湧きました。

次回予告では、蜂須賀正勝(高橋努)が倒れる姿が映っていました。

史実では正勝が亡くなる時期も近づいています。

いよいよ退場となってしまうのでしょうか。

秀吉と秀長を長く支えてきた人物だけに、最後にどのような言葉を交わすのか、しっかり見届けたいと思います。

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