※この記事には、第33回「北庄城の別れ」のネタバレがあります。
『豊臣兄弟!』第33回「北庄城の別れ」では、北庄城に追い詰められた柴田勝家と市の最期が描かれました。
勝家と市が天守から身を投げた結末には、まさかまさかの展開で驚きました。
それまでの二人のやり取りが良かっただけに、悲しさよりも「飛び降りるのか」という驚きが先に立ってしまったのが正直な感想です。
今回、特に心に残ったのは、市が茶々たち三姉妹を城から送り出した別れの場面でした。
茶々へ守り刀と妹たちを託した市。
母の思いを背負い、秀吉への恨みを抱える茶々。
市の物語が終わると同時に、三姉妹の新たな物語が始まった回でもあったように思います。
そして、これまで小一郎が本当に主人公なのかと疑い始めていましたが、千宗易との出会いを経た今回、ようやく何かが変わったようにも感じました。
前回、第32回では、まつが願う「戦のない世」のため、親父殿と慕う勝家と別の道を選んだ前田利家について書きました。
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第33回「北庄城の別れ」のあらすじ
賤ケ岳の戦いに敗れた柴田勝家(山口馬木也)は、市(宮﨑あおい)の待つ北庄城へ戻ります。
小一郎(仲野太賀)は、勝家に降伏を促すよう提案しますが、秀吉(池松壮亮)は勝家が降伏することはないと断言。
さらに秀吉は、かつて勝家を「親父殿」と慕っていた前田利家(大東駿介)を先鋒に命じます。
羽柴軍が北庄城を取り囲むなか、市は茶々(井上和)、初(田牧そら)、江(西川愛莉)の三姉妹を城外へ送り出し、自らは勝家と最期をともにする道を選びました。
戦のあと、市と勝家を救えなかった小一郎は大徳寺にこもり、そこで千宗易(吉岡秀隆)と出会います。
市(宮﨑あおい)が三姉妹へ託したもの
今回、最も心に残ったのは、市と三姉妹の別れです。
市は、兄・信長から授かった守り刀を長女の茶々へ渡し、妹たちを守るように告げました。
自分は勝家とともに死ぬ。
しかし、娘たちには生きてほしい。
市が茶々へ託したのは、守り刀や妹たちだけではなかったように思います。
織田家と浅井家の人間として生きてきた自分の思いも、三姉妹へ託したのではないでしょうか。
歴史上、茶々は豊臣秀吉の側室となり、江は徳川秀忠の正室となって三代将軍・家光の母になります。
その後の歴史を知ったうえで見ると、三姉妹が生き延びることによって、織田と浅井の血が次の時代へつながっていくことまで意識した場面だったのかもしれません。
ドラマがそこまで意図していたのかは分かりません。
それでも、市の物語が終わる場面で、その思いを受け継ぐ三姉妹が生き残る。
ただ悲しいだけではなく、未来へつながる別れとして描かれていたように感じました。
そして、この場面の宮﨑あおいさんが本当に美しかったです。
母として娘たちを思う優しさと、織田家の人間としての気高さ。
勝家と死ぬ覚悟を決めながらも、娘たちの前では強くあろうとする姿から目が離せませんでした。
市という人物の強さと美しさを、最後まで見事に演じていたと思います。
茶々(井上和)と寧々の関係が気になる
市から守り刀と妹たちを託された茶々は、秀吉への恨みを抱えたまま城を出ました。
ここまで秀吉を恨んでいる茶々が、今後どのような経緯で秀吉の側室になるのかは気になります。
また、三姉妹を迎える寧々(浜辺美波)と茶々の関係も、これからの注目点です。
母と勝家を死へ追いやった秀吉。
その秀吉の正室である寧々。
茶々は、二人とどのように向き合っていくのでしょうか。
一方、演技については、宮﨑あおいさんの圧倒的な存在感を前にすると、茶々役の井上和さんは現時点では少し力不足に見えたのも正直なところです。
これから茶々は、物語のなかでさらに重要な存在になっていくはずです。
秀吉への恨みや寧々との関係を通して、茶々の複雑な感情をどのように表現していくのか、今後に期待したいと思います。
勝家と市、天守からの飛び降りに驚いた
自害しようとした市を止め、最後まで守ろうとした勝家。
そして、勝家とともに最期を迎えることを選んだ市。
それまでの勝家と市のやり取りは、とても良かったです。
特に印象に残ったのは、市が作った料理を勝家が食べる場面でした。
市が料理を作り、勝家がそれを食べる。
そんな二人の何気ないやり取りが、どこか微笑ましくて好きでした。
だからこそ、二人の最期には悲しさを感じると思っていました。
しかし実際には、二人で天守から身を投げます。
私は、市が自害するか、炎に包まれた城内で二人が最期を迎える展開を想像していました。
あまりにも予想外だったため、悲しさよりも「まさか飛び降りるとは」という驚きが先に立ってしまいました。
市が小一郎たちの顔を見届け、勝家とともに飛び降りることで、二人の覚悟を強く見せたかったのだとは思います。
ただ、飛び降りの印象が強く、それまで感じていた悲しさが少し薄れてしまったのが正直な感想です。
千宗易との出会いで、小一郎(仲野太賀)は変わったのか
市と勝家を救えなかった小一郎は、戦のあと大徳寺にこもりました。
勝家を倒したことで、秀吉と小一郎は天下へ大きく近づきます。
しかし、そのために市や勝家が死んだことを、小一郎は簡単に受け入れられません。
第31回で市から問われた「兄を支える覚悟」が、今回、最も重い形で小一郎へ突きつけられました。
そこで出会ったのが、千宗易です。
天下を目指す以上、戦や犠牲を避けることはできません。
そのうえで大切なのは、最後にどのような世をつくるのか。
宗易との会話を通じて小一郎は、多くの犠牲の先に理想の世を実現することができれば、これまで歩んできた道にも意味が生まれると考えたのかもしれません。
そう考えることで、小一郎は再び前へ進めるようになったのではないでしょうか。
宴の席で家臣たちを鼓舞した小一郎の姿からは、これまでとは違う力強さを感じました。
兄についていくだけではなく、自分も天下取りの当事者として、その道を進もうとしている。
ずっと「小一郎は本当に主人公なのか」と疑い始めていましたが、今回でようやく主人公として覚醒したのかもしれません。
「覚悟が決まった」というよりも、迷いや苦しみを抱えたまま、それでも進んでいく理由を見つけた。
小一郎の変化は、そのようなものだったように思います。
おわりに
第33回「北庄城の別れ」で最も心に残ったのは、市が茶々へ守り刀と妹たちを託した場面でした。
宮﨑あおいさんが演じた市は、最後まで気高く、本当に美しかったです。
市が作った料理を勝家が食べる場面など、二人の何気ないやり取りも印象に残りました。
ただ、天守から飛び降りた最期には驚きが先に立ち、悲しさが少し薄れてしまったのが正直な感想です。
そして、市の物語が終わったことで、茶々たち三姉妹の新しい物語が始まります。
秀吉への恨みを抱く茶々が、秀吉や寧々とどのように向き合っていくのか。
小一郎もまた、千宗易との出会いを通じて、ようやく天下への道を進む理由を見つけたように見えました。
次回、第34回「最強のライバル」では、徳川家康(松下洸平)が秀吉の前に立ちはだかります。
主人公として変わり始めた小一郎が、秀吉と家康の対立のなかでどのような役割を果たすのか注目したいです。