『LISTEN』感想|聴いているつもりの自分に刺さった一冊

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

話を聞きながら、次に何を話そうか考えてしまう。

相手が話し終わる前に、自分の話やアドバイスを挟んでしまう。

沈黙が気まずくて、つい自分から話し始めてしまう。

ケイト・マーフィの『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』を読んで、そんな自分の会話の癖に何度も気づかされました。

この本を知ったのは、コーチングに少し興味を持ち、いろいろと調べていたときです。

「聴くこと」を掘り下げた本らしく、面白そうだと思って読み始めました。

読み始めたのは7月12日。読み終わったのは9月25日。

途中でしばらく読まない期間もあり、読了まで2カ月以上かかりました(笑)。

約500ページとかなり厚い本ですが、さまざまな研究や具体例が紹介されており、最後まで興味深く読めました。

相手の話を聴くとは、頷いたり相槌を打ったりすることではありません。

自分のことをいったん脇に置き、相手を知ろうとすること。

この記事では、『LISTEN』を読んで特に刺さったことや、自分の会話を振り返って感じたことを書いていきます。

『LISTEN』の基本情報

項目内容
書名『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』
著者ケイト・マーフィ
監訳篠田真貴子
訳者松丸さとみ
出版社日経BP
ページ数504ページ
私の評価5.0/5.0

『LISTEN』は、ジャーナリストのケイト・マーフィが、「聴くこと」について心理学や脳科学などの研究、さまざまな職業の人への取材を交えながら掘り下げた本です。

カウンセラーやラジオ番組の司会者、優れた営業担当者など、多くの人の話を聴いてきた人物が登場します。

よくある会話術のように、「相槌はこのタイミングで」「こう質問すれば相手が話してくれる」といったテクニックを並べた本ではありません。

なぜ人は相手の話を聴けないのか。

きちんと聴くことで、相手との関係や自分の考え方がどう変わるのか。

そもそも「聴く」とは何なのか。

読み進めるほど、自分の普段の会話を振り返りたくなる本でした。

読み始めてすぐ、「本当に聴けているのか」と思った

コーチングでは、相手に答えを教えるのではなく、問いかけながら考えを引き出していきます。

そのためには、まず相手の話を聴かなければなりません。

自分も仕事で人の話を聴く機会があるため、何か活かせることがあるかもしれないと思いました。

ただ、読み始めてすぐに感じたのは、そもそも自分は本当に人の話を聴けているのか、ということでした。

最初の感想メモにも、

多分、聞く(聴く?)ことの概念が覆されそうな予感。

と書いています。

実際、その予感は当たりました。

頷きや相槌よりも、相手への好奇心が必要

本書を読んで最初に印象に残ったのは、「聴く」ためには相手への好奇心が必要だということです。

頷いたり、相槌を打ったり、相手の言葉を繰り返したり。

話を聴く方法として、こうしたテクニックを教わることがあります。

ただ、形だけ相槌を打っていても、相手には意外と伝わります。

「この人、話を聞いていないな」と感じることは、自分にもあります。

逆にいえば、自分も同じように思われている可能性があります。

大事なのは、聴いているように見せることではなく、「この人のことをもっと知りたい」と思うこと。

相手がなぜその話をしているのか。

その出来事が、その人にとってどんな意味を持つのか。

言葉だけを追うのではなく、そこまで知ろうとすることが、本当に聴くということなのだと思いました。

次に何を話すかを考えて、聞き漏らしていた

特に自分に刺さったのが、「次に何を話そうか」と考えることが会話を邪魔するという話です。

これは、かなり身に覚えがありました。

相手が話している途中なのに、

「このあと何を聞こう」

「次は自分のこの話をしよう」

「どう返せば気の利いた会話になるだろう」

と考えてしまうことがあります。

そうしている間は、目の前の相手ではなく、自分のことに意識が向いています。

何を話すか考えすぎた結果、相手の話を一部聞き漏らしていることもあります。

それでは、聴いているとはいえません。

面白い会話をしようとして次の言葉を探すより、自分の考えをいったん忘れて相手の話に集中する。

そのほうが、結果的に会話も面白くなるのだと思います。

今後まず意識したいのは、相手が話し終わるまで待つことです。

簡単そうですが、自分にとっては意外と難しい。

話の途中で分かったつもりにならず、最後まで聴くところから始めたいです。

アドバイスをする前に、相手を理解する

本書を読みながら、もう一つ反省したのが、ついアドバイスをしてしまうことです。

誰かが困っている話をすると、何か役に立つことを言わなければと思います。

「こうしたほうがいいんじゃない?」

「自分のときはこうだったよ」

と、解決策を出したくなります。

でも、相手は必ずしもアドバイスを求めているわけではありません。

解決策はすでに本人の中にあり、ただ話を聴いてほしいこともあります。

それなのに、こちらが勝手に答えを出そうとすると、相手の話を自分の話へずらしてしまいます。

読書中のメモには、

アドバイスとか、おこがましいってこと。

と書いていました。

少し極端な言い方ですが(笑)、それくらいの意識でいたほうが、自分にはちょうどいいのかもしれません。

すぐに何かを教えようとせず、相手が直面しているものを理解しようとする。

その人がどんな感覚でいるのかを想像する。

まずは、それだけでいいのだと思いました。

会話をコントロールしようとしていた

自分が話したい方向へ会話を持っていったり、相手の話を途中で奪ったりすることもあります。

話を盛り上げたい、沈黙をつくりたくない、何か返さなければいけない。

そう思っているうちに、自分が会話をコントロールしようとしてしまいます。

しかし、良い関係や良いチームをつくるには、会話を思いどおりに動かそうとする気持ちを手放すことも必要です。

相手がどこへ話を進めるのか分からなくても待つ。

自分が予想していなかった話が出てきても、すぐに整理しようとしない。

話の辻褄が合わなければ、分かったふりをせず、

「よく分からなかったので、もう一回教えて」

と聞けばいい。

勝手に相手の考えを自分と同じだと決めつけず、確認することも聴くことの一部なのだと思います。

沈黙を埋めなくてもいい

私は、会話の間や沈黙があまり得意ではありません。

少し黙る時間があると、何か話さなければと思ってしまいます。

しかし、本書を読んで、こちらが話さないからこそ相手から出てくる言葉があることを知りました。

相手が考えを整理している途中なのに、こちらが沈黙に耐えられず話し始めたら、その先にあった言葉を聞けません。

沈黙は、会話が止まった時間ではない。

相手が考えている時間かもしれません。

そう考えると、すぐに間を埋める必要はないのだと思えます。

実際にできるかは怪しいですが(笑)、沈黙を失敗だと思わず、少し待てるようになりたいです。

反対意見を聴くことは思っている以上に難しい

自分と同じ意見を聴くことは、それほど難しくありません。

難しいのは、自分と違う意見を聴くことです。

本書では、反対意見を聞くと、人は生理的な脅威を感じることがあると紹介されています。

確かに、否定されたと感じると、相手の話を理解するより先に反論したくなります。

その瞬間から、相手の話を聴くのではなく、自分の正しさを証明するための材料を探し始めます。

反対意見を聴くときは、「自分が間違っているかもしれない」と少しだけ考えてみる。

相手に同意する必要はありません。

ただ、自分には見えていなかったものを知る機会だと思えば、受け止め方も変わりそうです。

これも、意識しなければなかなかできないことだと思います。

約500ページでも最後まで面白く読めた

『LISTEN』は504ページあり、かなり厚い本です。

自分も読み終えるまでに2カ月以上かかりました。

それでも評価は5.0/5.0です。

さまざまな研究や、聴くことを仕事にしている人たちの具体例が多く、最後まで読みごたえがありました。

人の話を聴く仕事だけでなく、友人や家族との会話、自分の内なる声、反対意見やうわさ話まで扱われています。

「聴く」という一つのテーマだけで、ここまで話が広がるのかと驚きました。

そして、読み進めるたびに、

「話の途中で次に言うことを考えているな」

「アドバイスして満足していたかも」

「自分が会話を進めようとしていたな」

と、普段の会話を振り返ることになりました。

仕事にも日常にも使える内容で、読んだあとに意識したいことが具体的に残った一冊です。

『LISTEN』をおすすめしたい人

この本は、次のような人におすすめです。

  • 人の話を聴く仕事をしている人
  • コーチングに興味がある人
  • 相手の話を途中で遮ってしまう人
  • ついアドバイスや解決策を出してしまう人
  • 会話の沈黙が苦手な人
  • 自分は話を聴くのが得意だと思っている人

特に、人の相談に乗ったり、部下や同僚と面談したりする機会が多い人には、一度読んでほしいです。

話を聴くための技術だけでなく、どんな姿勢で相手と向き合うかを考えるきっかけになります。

まとめ|相手が話し終わるまで待つ

『LISTEN』を読んで、本当に人の話を聴くのは思っていた以上に難しいと感じました。

頷きや相槌だけでは足りません。

次に何を話すかを考えず、すぐにアドバイスをせず、会話を思いどおりに進めようとせず、沈黙にも耐える。

自分のことをいったん脇に置いて、相手を知ろうとする必要があります。

読書中のメモには、何度も「意識したい」「気をつけよう」と書いていました。

全部を一度に変えるのは難しそうです。

まずは、相手が話し終わるまで待つことから始めます。

誰かの話を聴くことは、その人を尊重することでもある。

人を理解し、自分のことも理解してもらうために、急がず、じっくり聴く。

簡単に身につくものではないと思いますが、努力してでも「聴くこと」を極めたいと思える一冊でした。

上部へスクロール