朝ドラ『風、薫る』第25週「風媒花」では、かつて帝都医大病院で働いていたツヤ(東野絢香)が再登場しました。
ツヤは以前、患者に薬を飲ませることを忘れ、病院を辞めることになった人物です。
あれから11年。ツヤは看護婦になる夢を諦めず、直美(上坂樹里)から渡された英語の看護書を、辞書を引きながら11年かけて読み切っていました。
本には何度も読み返した跡が残り、ツヤが過ごしてきた11年間の重みが伝わってきました。
一方、週の後半では、胃がんの手術を受けたシマケン(佐野晶哉)の看護が描かれます。
最終週直前に再びりん(見上愛)とシマケンの関係が大きく扱われたことには、最初は少し戸惑いました。
しかし、二人が病室でこれまで言えなかった本音をぶつけ合う場面を見て、この時間が必要だった理由も分かった気がします。
今回は、ツヤが11年間学び続けたこと、看護婦の資格制度、シマケンとりんが交わした本音について書きます。
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『風、薫る』第25週「風媒花」あらすじ
恵風看護婦会を訪れたツヤは、看護婦として雇ってほしいと、りんと直美に頼みます。
ツヤは、直美から渡された英語の看護書を11年かけて読み切っていました。
本気で看護婦になろうとするツヤの姿を見たりんと直美は、自分たちで看護を教えることを決めます。
ツヤはりんや直美から看護を学び、虎太郎(小林虎之介)にも薬について積極的に質問していきます。
しかし、東京府看護婦規則では、看護婦免状を得るには試験に合格する必要があり、2年以上の看護経験を医師などに証明してもらえれば、試験が免除されることになりました。
ツヤには看護の経験がありましたが、帝都医大病院から勤務証明書を発行してもらえず、試験を受けることになります。
そんななか、胃がんの手術を受けたシマケンから、派出看護の依頼が入ります。
りんと直美が看護にあたりますが、シマケンは高熱を出し、危険な状態に陥りました。
シマケンのそばで、りんはこれまで抑えていた思いをぶつけます。
その後、シマケンは峠を越えました。
そして、セツ(村上穂乃佳)が看護婦になりたいと話したことをきっかけに、りんと直美は看護婦養成所を作ることを考え始めます。
11年かけて英語の看護書を読み切ったツヤ
第25週で一番心に残ったのは、ツヤが英語の看護書を11年かけて読み切ったことです。
ツヤは以前、患者に薬を飲ませることを忘れるという失敗をしました。
看護婦として決して軽く扱えない失敗ですし、帝都医大病院を辞めることになったのも仕方がなかったと思います。
それでも、ツヤは看護婦になることを諦めませんでした。
英語を簡単に読めるわけでもないなか、辞書を引きながら、少しずつ看護書を読み進めていました。
本には書き込みが残り、何度も開いたことが分かるほど使い込まれていました。
「11年かけて読みました」という言葉だけでもすごいですが、あの本を見たことで、ツヤがどれだけ長く看護について考え続けてきたのかが伝わってきました。
一度失敗したあとに、もう一度同じ道を目指すのは簡単ではありません。
失敗した場面を思い出したり、「自分には向いていないのではないか」と迷ったりすることもあったと思います。
それでも本を手放さず、11年間学び続けたツヤを見て、今度こそ看護婦になってほしいと思いました。
数か月続けるだけでも難しいから、11年の重みを感じた
私は最近、朝早く起きて本を読んだり、ブログを書いたりする生活を続けています。
始めたばかりの頃は新鮮さがありますが、毎日続けていると、眠い日や何も書きたくない日もあります。
まだ数か月しか続けていない私でも、同じことを積み重ねる難しさを感じています。
もちろん、私の読書やブログと、看護婦を目指して11年間学び続けたツヤを同じように語ることはできません。
それでも、自分でも何かを続けるようになったからこそ、11年という時間が以前より重く感じられました。
ツヤは、すぐに結果が出る保証がないまま勉強を続けています。
いつか看護婦になれると約束されていたわけでも、誰かが毎日励ましてくれたわけでもありません。
それでも、一冊の本を「お守り」のように持ち続け、自分にできることを積み重ねてきました。
続けた先に必ず望んだ結果が待っているとは限りません。
それでも、諦めずに続けた時間は、その人の力になる。
使い込まれた看護書と、看護について次々に質問するツヤの姿から、そんなことを感じました。
資格は必要。それでも制度の線引きは難しい
東京府看護婦規則が作られること自体は、必要な流れだと思いました。
看護婦は患者の命を預かる仕事です。
ツヤが以前、患者への解熱剤の投与を忘れたことを考えても、一定の知識や技術を持つ人だけに免状を交付する制度は必要です。
規則では、看護婦試験に合格した人に免状が交付されます。ただし、2年以上看護を仕事にしていたことを医師などに証明してもらえれば、試験は免除されることになりました。
ツヤには帝都医大病院で働いた経験があります。
しかし、患者への投薬を忘れて解雇された経緯があるため、病院から勤務証明書を発行してもらえませんでした。その結果、ツヤは試験を受けて、自分の力を証明しなければならなくなります。
ツヤだけを特別扱いして、試験を免除してほしいとは思いません。
失敗した過去があるからこそ、必要な知識を身につけ、試験に合格して看護婦になってほしいです。
一方で、11年間勉強を続け、実際に看護の経験もあるツヤが、過去の失敗だけで再挑戦する機会まで失うのは違うと思います。
りんと直美がツヤをすぐに一人前として扱わず、改めて看護を教えようとした判断には納得できました。
ツヤに必要なのは特別扱いではなく、正しく学び直し、自分の力を証明できる場所なのだと思います。
看護婦養成所は、ツヤだけを救う場所ではない
ツヤを教え始めたことは、りんと直美が看護婦養成所を作るきっかけにもなりました。
さらに、セツも看護婦になりたいと話します。
りんと直美がバーンズ先生たちから教わった看護が、ツヤやセツへ受け継がれていく。
第25週のタイトル「風媒花」は、風によって花粉が運ばれる花を意味します。
これまでりんと直美が受け取ってきた看護への思いが、二人だけにとどまらず、別の人へ運ばれていく一週間だったのだと思いました。
ツヤが看護婦になれるかどうかだけではありません。
学びたい人が、立場や過去に関係なく看護を学べる場所を作ることが、これからの看護を支えることにつながります。
りんと直美が現場で積み重ねてきた経験を、次の世代へ渡そうとしていることに、二人の成長を感じました。
シマケンの病気で、また恋愛を描くのかと思った
第25週の後半では、胃がんの手術を受けたシマケンの看護が描かれました。
シマケンが再び物語の中心に入ってきたとき、正直に言うと、
「最終週の直前まで、りんとシマケンの恋愛を引っ張るのか……」
と思いました。
二人の関係については、これまでにも何度も描かれてきたからです。
りんとシマケンが別々の道を選んだあとも、二人の思いが残っていることは十分に伝わっていました。
そのため、シマケンが重い病気になり、りんが看護する展開には、少し都合のよさも感じました。
ただ、二人が病室で本音をぶつけ合う場面を見て、印象が変わりました。
「この手を離したくなかった」と今になって言うシマケンはずるい
高熱に苦しむシマケンは、「この手を離したくなかった」と口にしました。
それを聞いたりんは、シマケンに対して感情をぶつけます。
あの場面では、りんがシマケンを今でも大切に思っていることだけでなく、これまで我慢してきた悔しさも伝わってきました。
シマケンは、りんのためを思って身を引いたのかもしれません。
しかし、別れると決めたときには本当の気持ちを十分に伝えず、命が危うくなってから「手放したくなかった」と話します。
それを聞かされたりんが、「ずるい」と感じるのは当然です。
りんは、シマケンとの別れを受け入れ、自分の道を進もうとしてきました。
今になって本音を聞けば、抑えてきた気持ちがあふれてしまいます。
私も、シマケンに対して「それをもっと早く言ってほしかった」と思いました。
それでも、シマケンが生きるか死ぬかという場面で、二人がようやく本音を伝え合えたことには意味があったと思います。
二人がもう一度結ばれるためというより、言えないまま残っていた気持ちに区切りをつけるために必要な場面だったのではないでしょうか。
まとめ|続けてきた時間が、次の人へつながった第25週
第25週で最も心に残ったのは、ツヤが英語の看護書を11年かけて読み切ったことです。
過去の失敗を抱えながらも看護婦になる夢を諦めず、自分にできる勉強を続けてきました。
ツヤの姿をきっかけに、りんと直美は看護を教える側へ進み、看護婦養成所を作ろうと考え始めます。
二人が受け継いできた看護が、ツヤやセツへ渡っていく展開は、「風媒花」という週タイトルにも重なりました。
シマケンとりんについても、最後まで恋愛を引っ張るのかという戸惑いはありました。
それでも、二人がようやく本音を伝え合えたことで、長く残っていた気持ちに一つの区切りがついたように感じます。
残すところ、あと1週間。
りんと直美が作ろうとしている看護婦養成所がどうなるのか、二人が歩んできた物語を最後まで見届けたいです。
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