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私が戸崎圭太騎手を初めて意識したのは、2011年の安田記念でした。
競馬を始めたばかりだった私は、そのレースを東京競馬場で現地観戦していました。
勝ったのは、9番人気の3歳馬リアルインパクト。
騎乗していたのは、当時まだ地方競馬の大井に所属していた戸崎圭太騎手です。
競馬を見始めたばかりの私にとっては、まだよく知らない騎手でした。
正直なところ、レース後の感想は「誰だ、この人?」というもの(笑)。
それが、私が戸崎騎手を知ったきっかけでした。
その後、戸崎騎手はJRAへ移籍し、3年連続でリーディングジョッキーを獲得。数々のGⅠレースを制するトップジョッキーになりました。
騎乗がうまく、しっかり結果も残していることはもちろん、YouTube「戸崎圭太のベリベリチャンネル」で見せる、穏やかで謙虚な人柄も魅力です。
そんな戸崎騎手が、自身のYouTubeで紹介していたのが、初の著書『やり抜く力 天才じゃなくてもトップになれた「ベリベリ」シンプルな理由』でした。
好きな騎手の本ということで、これは読んでみたいと思い、手に取りました(笑)。
トップジョッキーの成功哲学が書かれた本かと思いましたが、読んで特に印象に残ったのは、戸崎騎手が決して自信満々な人物ではなかったことです。
「小心者」「自信がない」と率直に語りながらも、これだと決めた道をコツコツと進み続ける。
むしろ、自信がないからこそ、さぼったり怠けたりすることが怖くて、努力を続けてきた部分もあるのだと思います。
その姿勢に戸崎騎手の強さを感じると同時に、自分も共感しました。
『やり抜く力』の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 『やり抜く力 天才じゃなくてもトップになれた「ベリベリ」シンプルな理由』 |
| 著者 | 戸﨑圭太 |
| 出版社 | Gakken |
| 発売日 | 2026年3月26日 |
| 私の評価 | 4.5/5.0 |
『やり抜く力』は、地方競馬からキャリアを始め、日本競馬を代表する騎手となった戸崎圭太騎手が、自身の歩みを振り返った初の著書です。
勝てなかった若手時代やJRAへの移籍、スランプ、落馬による大けがなど、決して順風満帆ではなかった騎手人生が語られています。
華やかな実績だけを並べた本ではありません。
迷いや不安を抱えながら、戸崎騎手が何を考え、どのように前へ進んできたのかが書かれています。
競馬の裏側を楽しめる一冊であると同時に、仕事や日常にも通じる考え方を学べる本です。
自信がないからこそ、努力をやめられない
この本を読んで意外だったのは、戸崎騎手が自分について「小心者」「自信がない」と何度も語っていたことです。
トップジョッキーと聞くと、強い自信を持ち、大きなプレッシャーにも動じない人物を想像します。
多くの人が注目するGⅠで騎乗し、わずかな判断が勝敗を分ける世界です。
その第一線で長く活躍している戸崎騎手は、もともと強い自信を持ち、迷わず進める人なのだろうと思っていました。
しかし、本書から伝わってきた姿は、私が想像していたものとは少し違いました。
戸崎騎手も不安を感じ、周囲からの評価を気にすることがある。
それでも、自分でやると決めたことから逃げず、地道な努力を積み重ねてきました。
特に共感したのは、自信がないからこそ努力を続けるという部分です。
自信がないと、挑戦を避けたり、途中で諦めたりしてしまうこともあります。
一方で、「さぼったら結果が出なくなるかもしれない」「怠けてしまったら自分は駄目になるかもしれない」という怖さが、行動を続ける力になることもあります。
戸崎騎手にも、自信がないからこそ、やらなければならないという思いがあったのではないでしょうか。
小心者であることや自信がないことは、必ずしも弱さだけではありません。
不安があるから準備する。
自信がないから努力する。
怠けることが怖いから、決めたことをコツコツと続ける。
そう考えると、戸崎騎手がトップまで上り詰めた背景には、自信のなさを行動する力へ変えてきた強さがあったのだと思います。
私自身にも、さぼったり怠けたりすることが怖くて、やらなければと思う部分があります。
だからこそ、戸崎騎手の言葉は単なる成功者の話ではなく、自分にも重なる話として読むことができました。
天才というより、決めたことを続けられる人
本書のタイトルには、「天才じゃなくてもトップになれた」とあります。
戸崎騎手は、馬と関わりのない家庭で育ち、騎手になる前から競馬について詳しかったわけでもありません。
若手時代から順調に勝ち続けたわけでもなく、時間をかけて結果を積み重ねてきた騎手です。
だからこそ、このタイトルにも説得力があります。
もちろん、トップジョッキーになるには才能も必要でしょう。
しかし、本書を読んで感じたのは、戸崎騎手の一番の強さは、特別な才能を誇示することではなく、一度決めたことを地道に続けられる点だということです。
すぐに結果が出なくても、焦ってすべてを変えるのではなく、目の前のことにコツコツと取り組む。
迷うことがあっても、戻るべき場所を見失わない。
非常にシンプルですが、実際に続けるのは簡単ではありません。
自信がないと、新しいことへ挑戦する前に「自分には無理かもしれない」と考えてしまいます。
始められたとしても、周囲の反応や結果が気になり、途中でやめたくなることもあります。
戸崎騎手も、不安を感じなかったわけではありません。
それでも、「これだ」と決めたことには突き進む。
その積み重ねが、地方競馬から中央競馬へ進み、日本のトップに立つ結果につながったのだと思います。
素直さと人間力も、戸崎騎手の強さ
Xへ読書記録を投稿したとき、私は戸崎騎手について「素直さ・人間力がすごい」と書きました。
本を読んでいると、戸崎騎手が自分一人の力だけで成功したとは考えていないことが伝わってきます。
周囲からの助言を受け入れ、人との縁や支えを大切にする。
トップジョッキーになってからも、驕らずに学び続ける。
騎乗技術だけではなく、この素直さも長く活躍できている理由なのだと思います。
実績を重ねるほど、自分の考えに自信を持つようになります。
一方で、自分のやり方に固執し、周囲の意見を受け入れにくくなることもあります。
戸崎騎手は、自分で決めた道を進む強さを持ちながら、人の言葉を聞く柔軟さも持っています。
「これと決めたら突き進むこと」と「周囲の意見を素直に聞くこと」。
一見すると反対に見える二つを両立している点に、戸崎騎手の人間力を感じました。
2011年の安田記念から始まった私の戸崎騎手への印象
本を読みながら、やはり思い出したのは2011年の安田記念です。
当時の戸崎騎手は大井競馬所属。
リアルインパクトも9番人気で、決して本命視されていた組み合わせではありませんでした。
それでも、好位からレースを進め、並み居る古馬を相手に勝利。戸崎騎手にとって、これがJRA・GⅠ初制覇となりました。
そのレースを現地で見ていた私は、「誰だ、この人?」と思ったことを今でも覚えています。
その後、戸崎騎手は2013年にJRAへ移籍し、翌年から3年連続でリーディングジョッキーを獲得しました。
今振り返ると、私が競馬を始めた年に感じた「誰だ、この人?」という驚きは、日本を代表するトップジョッキーの活躍を初めて目にした瞬間でもありました。
戸崎騎手を最初に知ったレースを現地で見られたこともあり、個人的に思い入れがあります。
だからこそ、この本で地方競馬時代から現在までの歩みを読めたことには、競馬ファンとして特別な面白さがありました。
自分も「これだ」と決めたことを続けたい
この本を読んで、自分にも取り入れたいと思ったのは、決めたことをコツコツと続ける姿勢です。
自分に自信がついてから始めようとしても、その日はなかなか来ません。
結果が出る保証を求めていたら、新しいことにも挑戦できません。
戸崎騎手の歩みから感じたのは、自信があるかどうかよりも、「自分で決めたことを続けられるか」が大切だということです。
最初から迷いがない必要はありません。
小心者でも、自信がなくてもいい。
これだと思えるものを見つけたら、周囲からどう見られるかを気にしすぎず、一歩ずつ進んでいく。
すぐに大きな結果が出なくても、地道に積み重ねる。
言葉にすると「ベリベリ」シンプルですが、だからこそ自分の日々の行動にも取り入れやすい考え方だと思いました。
もう少し騎手人生の裏話も読みたかった
私の評価は、5点満点で4.5点です。
戸崎騎手の考え方や人柄が伝わり、競馬ファンとしてかなり楽しめました。
特に、自信がない自分を隠すのではなく、そのまま受け入れながら前へ進んできた姿は印象に残っています。
大きな不満があったわけではありません。
ただ、戸崎騎手の長いキャリアを考えると、騎手人生の裏話や、過去のレース・競走馬にまつわる話をもう少し読みたかったという気持ちはあります。
競馬ファンとしては、「あのレースでは何を考えていたのか」「あの馬に乗ったとき、どのように感じていたのか」といった話を、さらに深く知りたくなりました。
とはいえ、それは本が物足りなかったというより、読んだことで戸崎騎手についてもっと知りたくなったからこその感想です。
『やり抜く力』をおすすめしたい人
この本は、次のような人におすすめです。
- 戸崎圭太騎手が好きな人
- 競馬や騎手の世界に興味がある人
- 自分に自信を持てない人
- 新しい挑戦をためらっている人
- 決めたことを長く続けられない人
- 地道な努力を結果につなげたい人
もちろん、戸崎騎手を知っている競馬ファンのほうが、登場するレースや競走馬の話をより楽しめると思います。
一方で、本書の中心にある「自信がなくても、これだと決めた道を続ける」という考え方は、競馬を知らない人にも通じます。
特に、自分は小心者だから挑戦できない、自信がないから成功できないと思っている人に読んでほしい一冊です。
まとめ|小心者でも、やり抜くことはできる
『やり抜く力』を読んで最も印象に残ったのは、戸崎騎手が自信満々だからトップになれたわけではないということです。
むしろ、自信がないからこそ努力する。
さぼったり怠けたりすることへの怖さがあるからこそ、自分で決めたことをコツコツと続ける。
戸崎騎手は、小心者であることや自信のなさを、立ち止まる理由ではなく、前へ進む力に変えてきたのだと思います。
この部分には、私自身も特に共感しました。
不安になったり、迷ったりすることはある。
それでも、これだと決めたことをコツコツと続ける。
周囲の助言を素直に受け入れながらも、人からどう見られるかだけで自分の道を変えない。
その積み重ねが、地方競馬からJRAへ進み、トップジョッキーになるまでの結果につながったのだと思います。
競馬を始めた2011年、安田記念を現地で見て「誰だ、この人?」と思った戸崎騎手。
その人が日本を代表する騎手となり、今ではこうして一冊の本を通じて、その考え方を知ることができました。
派手な成功法則が書かれた本ではありません。
小心者でも、自信がなくても、自分で決めたことはやり抜ける。
自分もこれだと思うことを見つけたら、簡単に諦めず、コツコツと突き進みたいと思わせてくれる「ベリーベリーブック」でした。