朝ドラ『風、薫る』第22週「明るい未来」では、直美(上坂樹里)の妊娠が分かり、吾郎(甲斐翔真)と二人で、生まれてくる子どもを「明」と名づけました。
吾郎らしい温かさが伝わる、幸せな場面でした。
しかし、吾郎は明が生まれる前に出征。
直美は無事に出産しますが、吾郎は我が子と一度も会えないまま亡くなってしまいました。
直美が吾郎の軍服にボタンを縫いつける場面には、二人の思い出が詰まっていて胸を打たれました。
ただ、台湾での転落、骨折、広島への搬送、脚気、病院では明るく振る舞っていたこと、そしてボタンの真相。
吾郎の最期に関する情報が一度に明かされたため、悲しむより先に、経緯を整理することに意識が向いてしまったのも正直なところです。
また、吾郎が台湾から多江(生田絵梨花)のいる広島の病院へ運ばれた流れには、ボタンの真相を明かして感動につなげるために用意された展開のようにも感じました。
今回は、吾郎と直美が「明」という名前に込めた思い、ボタンがよく取れかかっていた理由、吾郎の最期の描き方について書きます。
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【朝ドラ『風、薫る』第21週感想】シマケンと別れて2年後…気持ちが追いつかない【ネタバレ】
『風、薫る』第22週「明るい未来」あらすじ
日清戦争が始まるなか、直美の妊娠が分かります。
自分が母親になることに不安を抱く直美でしたが、吾郎は妊娠そのものだけでなく、直美がうれしそうにしていることを喜びました。
一方、多江は広島の陸軍予備病院で、負傷した軍人たちの看護にあたっていました。
やがて吾郎の出征が決まり、直美と吾郎は、生まれてくる子どもの名前を一緒に考えます。
二人が決めた名前は、男の子でも女の子でも「明」。
直美は吾郎の軍服のボタンをしっかりと縫いつけ、戦地へ送り出しました。
その後、直美は男の子を出産します。
明とともに吾郎の帰りを待ちますが、終戦後も吾郎は帰ってきません。
そして、吾郎が台湾での戦闘中に岩場から転落して負傷し、広島の陸軍予備病院で亡くなったことを知らされます。
直美のもとを訪れた多江は、吾郎の最期と、軍服のボタンに隠されていた思いを伝えました。
妊娠を喜ぶ吾郎が温かかった
直美の妊娠を知った吾郎の反応は、吾郎らしくて温かいものでした。
吾郎は、直美と生まれてくる子どものことを思いながら、二人の未来を喜んでいました。
これまでも吾郎は、直美の強さだけでなく、不器用さや寂しさも受け止めてきました。
今回も、母親になることに戸惑う直美を急かさず、その喜びに寄り添っていました。
だからこそ、吾郎と直美、そして生まれてくる子どもの3人が一緒に暮らす姿を見たかったです。
直美にとって特別な「名前」を二人で決めたこと
出征を前に、吾郎と直美は、生まれてくる子どもを「明」と名づけました。
「明るい父親、明るい母親、明るい家、明るい未来」
そんな願いを込めて、吾郎が思いついた名前です。
直美にとって、「名前」は特別なものだったと思います。
幼い頃に教会へ捨てられた直美には、実の母親がつけてくれた名前がありませんでした。
母親の文(内田慈)と再会した際にも、「なぜ名前もつけてくれなかったのか」という思いを口にしています。
そんな直美が、今度は吾郎と一緒に、自分の子どもの名前を考えました。
単に「明」という名前をつけたことだけでなく、直美が愛する人と一緒に、これから生まれてくる子どもの未来を考えられたことに意味があったように感じます。
しかし、吾郎は明の顔を見ることができませんでした。
3人で「明るい未来」を生きるためにつけた名前だったからこそ、その未来がかなわなかったことが悲しいです。
吾郎に明を会わせたかった
吾郎の出征後、直美は無事に男の子を出産しました。
吾郎と一緒に決めた「明」という名前を呼びながら、帰りを待つ直美。
りん(見上愛)や美津(水野美紀)に支えられ、直美が一人きりではなかったことは救いでした。
それでも、吾郎に明を会わせてあげたかったです。
吾郎が明を抱き、直美と3人で過ごす場面を一度でも見たかった。
吾郎が「明るい未来」と口にしたとき、そのような光景を想像していたのだと思います。
直美にとっても、吾郎にとっても、ようやく手に入れた家族でした。
だからこそ、明が生まれた喜びと、吾郎がその誕生を知らないまま亡くなった悲しさが重なります。
ボタンがよく取れかかっていた理由は予想どおりだった
吾郎の軍服のボタンがよく取れかかっていたのは、直美につけ直してもらうために、吾郎がわざと外していたからでした。
これまで、直美がボタンをつけ直す姿を、吾郎がどこかうれしそうに見つめていました。
その様子から、「吾郎がわざとやっているのでは?」と予想していたため、真相そのものに驚きはありませんでした。
それでも、多江からボタンを受け取った直美が、吾郎の軍服にもう一度縫いつける場面には胸を打たれました。
多江によると、吾郎は、直美が文句を言いながらも真剣にボタンをつけ直してくれる姿を見るのが好きだったそうです。
裁縫が苦手な直美が文句を言いながらボタンをつけ、その様子を吾郎がうれしそうに見つめる。
二人らしい夫婦の時間だったのだと思います。
直美がボタンを縫いながら吾郎の姿を思い浮かべる場面も印象的でした。
予想どおりの真相ではありましたが、二人の思い出が詰まった切ない場面でした。
感動した一方で、広島で多江が看取る流れは少し都合よく感じた
ボタンを縫いつける場面には胸を打たれました。
一方で、吾郎が亡くなるまでの経緯は、少し情報が詰め込まれすぎていたように感じます。
吾郎は台湾での戦闘中に岩場から転落し、右脚の脛骨と腓骨を骨折。
その後、広島の陸軍予備病院へ運ばれました。
しかし、搬送された時点ですでに脚気の症状が進んでおり、病院では明るく振る舞っていたものの、翌日には呼吸をすることも難しくなります。
そして、その日の夜に亡くなりました。
ここまでの説明を聞いて、
「えっ、結局、吾郎の死因は脚気だったの?」
「明るく振る舞っていたのに、翌日には亡くなったの?」
と、少し混乱しました。
脚気について調べると、ビタミンB1の不足によって起こり、重症化すれば心不全で死に至ることもある病気です。
そのため、吾郎の容体が急激に悪化したこと自体が、不自然なわけではありません。
また、明るく振る舞っていたからといって、元気だったわけではないことも分かります。
ただ、台湾で岩場から転落して骨折し、広島へ運ばれ、実は脚気も患っていて、その翌日には亡くなった。
さらに、吾郎が運ばれた病院には、ちょうど多江がいました。
多江が広島の病院で働いていることは以前から描かれていましたが、吾郎が台湾からその病院へ運ばれ、多江が最期を看取り、ボタンを直美へ届ける流れには、少し都合のよさも感じます。
多江が吾郎の最期を伝えなければ、ボタンがよく取れかかっていた理由を直美が知ることはできません。
そのため、広島への搬送を含め、ボタンの真相を明かして視聴者を感動させるために組み立てられた展開のようにも見えてしまいました。
直美がボタンを縫いつける場面には、素直に胸を打たれました。
ただ、その場面へ至るまでの作りが見えてしまったことで、感動しながらも、どこか引っかかりが残りました。
第23週への期待|もうシマケンはお腹いっぱい
第23週の予告には、早くもシマケン(佐野晶哉)の姿がありました。
第21週でりんと別れ、浜松へ向かったばかりだったので、
「もう戻ってくるの?」
というのが率直な感想です。
これまでにも書いてきましたが、個人的には、もうシマケンとの恋愛はお腹いっぱいです。
第22週では、吾郎が亡くなったばかり。
今は、母になった直美と明の生活や、りんと直美が看護婦として何を目指すのかを見たいです。
それなのに、予告でシマケンが再登場したことで、再びりんの恋愛が物語の中心になるのではないかと少し心配になりました。
物語も残りわずかです。
シマケンとの恋愛よりも、りんと直美が看護の道を切り開いていく姿に時間を使ってほしいと思います。
まとめ|感動した一方で、展開には引っかかりも残った
第22週では、直美の妊娠が分かり、吾郎と二人で、生まれてくる子どもを「明」と名づけました。
名前をつけてもらえなかった過去を持つ直美が、愛する人と一緒に自分の子どもの名前を考えられたことには、大きな意味があったと思います。
だからこそ、吾郎に明を会わせてあげたかったです。
吾郎の軍服のボタンがよく取れかかっていた理由は、予想どおりでした。
それでも、直美がそのボタンを軍服につける場面には、二人の思い出が詰まっていて胸を打たれました。
ただ、台湾での転落や骨折、広島への搬送、脚気、病院で明るく振る舞っていたことなど、吾郎の最期に関する情報が一度に明かされます。
さらに、吾郎が運ばれた病院には多江がおり、最期を看取った多江がボタンを直美へ届けました。
直美がボタンを縫いつける場面には感動した一方で、ボタンの真相を明かして感動につなげるために組み立てられた展開のようにも見え、少し引っかかりが残りました。
そして第23週には、早くもシマケンが再登場。
もうシマケンとの恋愛はお腹いっぱいなので、これからは直美と明の生活、そして、りんと直美が看護に向き合う姿を中心に描いてほしいと思います。