『C-United 一杯のコーヒーに心をこめて』感想|人材育成で大切なのは「本人の能力」だけではない

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珈琲館、カフェ・ベローチェ、カフェ・ド・クリエ。

それぞれ違った印象を持つ3つのカフェブランドですが、現在はC-Unitedという同じ会社が運営しています。

私は普段から珈琲館をよく利用しています。

コーヒーがおいしく、落ち着いて過ごせるところが好きです。私が利用する店舗では喫煙できることも多く、ひと息つきたいときに立ち寄っています。

そんな身近な珈琲館を運営する会社が、どのような考えでカフェを経営しているのか。

カフェ業界の経営や人材育成について知りたいと思い、友成勇樹さんの『C-United 一杯のコーヒーに心をこめて』を読みました。

特に勉強になったのは、飲食業を「ピープルビジネス」と捉え、教育を現場任せにしない考え方です。

なかでも、成果が出ない原因を整理する「パフォーマンス向上のための8つの要素」は、部下との育成面談や1on1にも取り入れたいと思いました。

一方で、統合後のFC店との関係や、実際に直面した課題については、もう少し詳しく読みたかったです。

この記事では、本書を読んで印象に残った人材育成の考え方や、普段から珈琲館を利用している立場で感じたことを紹介します。

『C-United 一杯のコーヒーに心をこめて』の基本情報

項目内容
書名『C-United 一杯のコーヒーに心をこめて――“街の財産”となるカフェづくりを!』
著者友成勇樹
出版社プレジデント社
発売日2025年3月31日
ページ数184ページ
私の評価4.0/5.0

本書は、珈琲館、カフェ・ベローチェ、カフェ・ド・クリエなどを運営するC-Unitedの経営や人材育成について書かれた本です。

著者の友成勇樹さんは、日本マクドナルドやモスフードサービスなどを経て、C-Unitedの代表取締役社長に就任しました。

本書では、異なる歴史や特徴を持つブランドが段階的に統合された経緯や、「街の財産」となる店づくり、人材育成、今後の成長戦略などが紹介されています。

珈琲館を利用する立場から、カフェ経営を知りたかった

この本を読もうと思った一番の理由は、カフェ業界の経営について知りたかったからです。

私は3ブランドのなかでも、珈琲館をよく利用します。

セルフサービスのカフェとは違い、席まで注文を取りに来てもらえることや、店内でゆっくり過ごせるところが気に入っています。

身近な店だからこそ、どのような考えで運営され、従業員がどのように育てられているのか気になりました。

珈琲館、カフェ・ベローチェ、カフェ・ド・クリエは、それぞれ店の雰囲気やサービスの形が異なります。

異なる文化を持つブランドを一つの会社が運営する難しさと、その違いをどのように強みに変えているのか。

普段は利用者としてしか見ていなかったカフェの裏側を知れたのが、本書の面白さでした。

カフェは、人によって価値が生まれる「ピープルビジネス」

本書を読んで、特に印象に残った言葉が「ピープルビジネス」です。

飲食店は、商品がおいしければそれだけで成り立つわけではありません。

同じコーヒーを提供していても、接客や店内の雰囲気によって、利用したときの印象は変わります。

店員さんの声かけや気配り、商品の提供方法など、人の力が店の価値に大きく関わります。

私が珈琲館を利用する理由にも、コーヒーのおいしさだけでなく、落ち着いて過ごせる雰囲気があります。

その空間をつくっているのも、そこで働く人たちです。

カフェ経営は、店舗数や売上だけを見るのではなく、人をどう育て、気持ちよく働ける環境をどうつくるかが重要なのだと感じました。

教育を現場任せにしない仕組みが勉強になった

本書のなかで最も勉強になったのが、人材育成についての内容です。

飲食店の教育と聞くと、それぞれの店舗で店長や先輩が新人に仕事を教えるイメージがありました。

しかし、教育を現場だけに任せると、教える人や店舗によって内容に差が生まれます。

忙しい店舗では、十分に教える時間を確保できないこともあります。

C-Unitedでは、トレーニング、ラーニング、実践を循環させる教育の仕組みを整え、社内大学も設置しています。

人材育成を個々の店長の力量に任せるのではなく、会社として仕組みをつくる。

多くの店舗を運営しながらサービスの質を保つためには、教育の標準化が欠かせないのだと思いました。

私自身も部下の育成に関わるため、教える人の経験や感覚だけに頼らない仕組みの大切さは参考になりました。

「8つの要素」があれば、本人の能力不足と決めつけずに済む

人材育成のなかで、特に覚えておきたいと思ったのが「パフォーマンス向上のための8つの要素」です。

部下の成果が出ないとき、つい「本人の能力が足りない」「努力が足りない」と考えてしまうことがあります。

しかし、成果が出ない理由は、本人の能力だけとは限りません。

仕事の目的や求められている行動が伝わっていないのかもしれません。

必要な情報や道具が足りない可能性もあります。周囲から適切な支援やフィードバックを受けられていないことも考えられます。

原因をいくつかの要素に分けて確認すれば、最初から本人だけの問題だと決めつけずに済みます。

私も育成面談や1on1を行うため、これは実際に使ってみたいと思いました。

「なぜできないのか」と本人を責めるのではなく、成果を出すために何が不足しているのかを一緒に整理する。

本人への指導が必要なのか、上司の伝え方や職場の環境を変える必要があるのかを考えることで、対応も変わります。

8つの要素をすべて暗記するだけでなく、成果が出ない原因を一方向から見ないことが大切だと感じました。

3ブランドを一つにする難しさも感じた

珈琲館、カフェ・ベローチェ、カフェ・ド・クリエは、同じカフェでもサービスの形やブランドの特徴が異なります。

珈琲館は、店員さんが注文を取り、商品を席まで運ぶフルサービス型です。

一方、カフェ・ベローチェとカフェ・ド・クリエは、自分で注文して商品を受け取るセルフサービス型です。

それぞれの店に長年積み重ねてきた文化があり、働く人たちが大切にしてきた考え方も違うはずです。

その違いをなくして一つにするのではなく、各ブランドの良さを残しながら、会社として共通する考え方をつくる。

それぞれの店で働く人の思いもあるはずなので、実際の統合は簡単ではなかったと思います。

本書からは、異なるブランドが集まったからこそ生まれる相乗効果を大切にしていることが伝わってきました。

統合後、FC店へどう説明したのかをもっと知りたかった

本書には、FCオーナーから見たC-Unitedについての章もあります。

ただ、個人的にはFC店との共存について、もう少し踏み込んだ内容を読みたかったです。

会社の統合にあたり、FC店にはどのような影響があったのかも気になりました。

運営会社が変わることで何が変わり、何を変えずに残すのか。既存のFCオーナーへ、統合の目的や今後の方針をどのように説明したのかが気になりました。

また、異なるブランドの教育や店舗運営の基準を、FC店へどのように共有したのかも知りたかったです。

統合する側にとっては成長のための前向きな決断でも、FCオーナーには不安があったかもしれません。

その不安にどう向き合い、理解を得ていったのかまで紹介されていれば、ブランド統合の難しさがさらに伝わったと思います。

成功事例だけでなく、課題や失敗も読みたかった

本書では、C-Unitedが大切にしている考え方や、人材育成の仕組み、今後の成長戦略が前向きに紹介されています。

会社やブランドの方向性が分かりやすく、カフェ業界の経営を知りたいという目的には合っていました。

一方で、全体的には成功事例が中心です。

異なる企業やブランドの統合では、計画どおりに進まなかったことや、現場から反発を受けたこともあったのではないかと思います。

人材育成の仕組みについても、導入時につまずいた点や、現在も解決できていない課題があれば知りたかったです。

うまくいった話だけでなく、失敗や修正の過程がもう少し書かれていれば、経営やマネジメントの本として、さらに学びが深まったと思います。

大きな不満があるわけではありませんが、この点を踏まえて私の評価は4.0/5.0としました。

『C-United 一杯のコーヒーに心をこめて』をおすすめしたい人

この本は、次のような人におすすめです。

  • 珈琲館、カフェ・ベローチェ、カフェ・ド・クリエを利用する人
  • カフェや飲食業界の経営に興味がある人
  • 店舗スタッフの教育に関わっている人
  • 部下との育成面談や1on1を行う人
  • 複数のブランドを運営する会社の考え方を知りたい人

まとめ|成果が出ない原因を、本人だけに求めない

『C-United 一杯のコーヒーに心をこめて』は、3つのカフェブランドを運営するC-Unitedの経営や人材育成を知ることができる一冊です。

普段から珈琲館を利用しているため、いつも過ごしている店の裏側に、どのような考えや仕組みがあるのか興味深く読めました。

特に印象に残ったのは、教育を現場任せにしないことと、成果が出ない原因を8つの要素から考える方法です。

部下が期待した成果を出せていないとき、本人の能力や努力だけに原因を求めてしまうことがあります。

しかし、指示の出し方や情報、道具、周囲の支援など、見直すべきものはほかにもあります。

まずは原因を整理し、本人だけの問題だと決めつけない。

この考え方を、今後の育成面談や1on1でも意識したいと思いました。

一方で、統合後にFC店へどのような説明をしたのか、現場ではどのような課題が起きたのかについては、もう少し詳しく読みたかったです。

成功事例だけでなく、その途中にあった苦労や失敗も知りたいと感じました。

カフェ業界の経営だけでなく、人材育成やマネジメントについて考えるきっかけにもなる本です。

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