映画『汝、星のごとく』を鑑賞しました。
凪良ゆうさんの原作小説は未読です。
瀬戸内の美しい風景と、横浜流星・広瀬すずをはじめとする俳優陣の演技が印象に残りました。
櫂と暁海は、それぞれ親の問題を抱えています。簡単には家族を見捨てられず、その影響で自分たちの人生まで変わっていくところが苦しかったです。
尾野真千子と木村佳乃が演じる母親たちに加え、松村北斗が演じる尚人の最期や、長谷川博己が演じる北原先生も心に残りました。
良かった作品ですが、重い場面が続くため、観ながら少し疲れたのも正直なところです。映画だけでは分からない背景もあるのかなと思い、原作も気になりました。
※この記事では、映画の内容と結末に触れています。
※原作小説は未読です。
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30秒で結論
評価:3.5/5.0
瀬戸内の風景が美しく、横浜流星と広瀬すずが演じる櫂と暁海の15年間に引き込まれました。
二人とも親の問題を抱えており、だからこそ惹かれ合った部分もあったのかもしれません。子どもが親を簡単には見捨てられない苦しさも伝わってきました。
松村北斗が演じる尚人の物語も強く印象に残っています。櫂と久しぶりに楽しい時間を過ごしたあとの最期だっただけに、かなり衝撃を受けました。
良かった作品ですが、重い展開が続き、映画だけではつかみきれないところもありました。上映時間は135分ありますが、長さ自体は気になりませんでした。
この映画はこんな人におすすめ
- 横浜流星・広瀬すずの演技を観たい人
- 家族に振り回される子どもの苦しさを描いた作品に関心がある人
- 瀬戸内を舞台にした恋愛映画を観たい人
- 凪良ゆうさんの原作が好きな人
- 松村北斗・長谷川博己の演技を観たい人
作品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | 汝、星のごとく |
| 日本公開日 | 2026年10月9日 |
| 上映時間 | 135分 |
| 製作国 | 日本 |
| 監督 | 藤井道人 |
| 脚本 | 安達奈緒子 |
| 原作 | 凪良ゆう『汝、星のごとく』 |
| 主な出演 | 横浜流星、広瀬すず、松村北斗、中村アン、濱田岳、尾野真千子、木村佳乃、石田ゆり子、長谷川博己ほか |
| 主題歌 | RADWIMPS「夕星-ゆうづつ-」 |
| 配給 | 東宝 |
| 映倫区分 | PG12 |
あらすじ(ネタバレなし)
瀬戸内の島で暮らす高校生・井上暁海(広瀬すず)。
父親は家を出ており、暁海は心を病んだ母・志穂(木村佳乃)と二人で暮らしていました。
そこへ、母・ほのか(尾野真千子)の恋人を追って京都から引っ越してきた青埜櫂(横浜流星)が転校してきます。
家庭の事情に振り回されてきた二人は、互いの孤独を知り、やがて惹かれ合っていきました。
高校卒業後、漫画原作者を目指す櫂は東京へ。母を置いていけない暁海は島に残ります。
離れた場所でそれぞれの人生を歩き始めた二人。物語は17歳から32歳まで、15年間にわたる櫂と暁海の恋愛を描いていきます。
良かったところ
瀬戸内の風景が美しかった
まず印象に残ったのは、瀬戸内の島の風景です。
海や空、港、花火など、櫂と暁海が過ごす場所がとても美しく撮られていました。
二人の物語には重い場面が多いのですが、その背景には穏やかな海が広がっています。その美しさと、登場人物たちが抱える苦しさの対比も印象的でした。
櫂は島を出て東京へ向かい、暁海は島に残ります。
同じ景色を見て育った二人が別々の場所で生きていく。その距離も、瀬戸内の風景によって伝わってきた気がします。
横浜流星と広瀬すずが演じた15年間
横浜流星と広瀬すずは、17歳、24歳、30歳、32歳の櫂と暁海を演じています。
年代ごとの表情や話し方の変化があり、二人が過ごしてきた時間を感じられました。
特に横浜流星は、終盤に向けた体重の変化もすごかったです。櫂の体調が悪くなっていく様子には、見た目だけでも説得力がありました。
広瀬すずは、年代ごとの差を演技で大きくつけすぎず、衣装やメイクに委ねたそうです。
横浜流星ほど見た目の変化は大きくありませんが、同じ島で暮らし続ける暁海には合っていたと思います。
仕事や生活は変わっても、家族を見捨てられないところや、櫂への思いは大きく変わっていないように見えました。
高校生時代の二人の演技も素晴らしかったです。17歳らしい不安定さや初々しさがあり、二人が惹かれ合っていく姿にも引き込まれました。
ただ、実際に高校生に見えるかといわれると、さすがに少し厳しいかなとも思いました(笑)。
それでも、観ているうちに年齢はあまり気にならなくなりました。同じ二人が17歳から32歳までを演じたことで、櫂と暁海が重ねてきた時間も伝わりやすかったです。
二人とも家族に振り回されていた
櫂と暁海は、どちらも親の問題に振り回されています。
櫂の母・ほのかは恋愛に依存し、暁海の母・志穂は夫が家を出たことで心を病んでいました。
事情は違いますが、二人とも親を放っておけません。
毒親だからといって、簡単に嫌いになれるわけでも、きっぱり縁を切れるわけでもない。その苦しさが伝わってきました。
親の問題によって進学先や住む場所、その後の人生まで変えられてしまうのは理不尽です。
それでも親を見捨てられない二人だったからこそ、互いの孤独や苦しさが分かり、惹かれ合った部分もあったのかなと思います。
尾野真千子と木村佳乃の演技も良かったです。
どちらの母親にも腹が立つところはあります。それでも、ただ嫌な親として片づけられない複雑さがありました。
尚人の最期は、かなり衝撃だった
松村北斗が演じる久住尚人も、かなり印象に残りました。
尚人は櫂と漫画を作ってきたパートナーであり、何でも話せる親友です。ゲイであることを初めてカミングアウトした相手も櫂でした。
櫂が物語を考え、尚人が絵を描く。二人で漫画家として成功していく姿からは、仕事仲間を超えた信頼関係が伝わってきました。
しかし、尚人と当時未成年だった圭との関係が報じられ、二人の漫画も連載終了に追い込まれます。
その後、櫂が久しぶりに会った尚人は、以前とは別人のように体型が変わっていました。最初に見たときは、正直かなり驚きました。
それでも、二人で話しているうちに、以前の空気が少しずつ戻っていきます。
報道後、尚人は圭がどうしているのか調べられずにいました。櫂が代わりに調べると、圭はフラワーアーティストとして夢をかなえていました。
さらに櫂は、尚人にもう一度一緒に仕事をしようと話します。
久しぶりに親友と会い、楽しい時間を過ごし、圭が元気でいることも分かった。少し希望が見えたように思えたのに、その後、尚人は亡くなります。
尚人が残したメモには、櫂と再び仕事をする約束ができたことや、圭が夢をかなえていたと知れたことで、もう十分だという趣旨が書かれていました。
尚人にとって櫂との再会は、もう一度歩き出すきっかけではなく、「これで思い残すことはない」と思える時間になってしまったのでしょうか。
もちろん、本当の理由は尚人にしか分かりません。報道によって仕事を失ったことや、人と会わずに過ごした時間など、さまざまな苦しさが積み重なっていたのだと思います。
これからまた二人で漫画を作れると思っていたので、尚人の最期にはかなり衝撃を受けました。
松村北斗の出番は主演二人ほど多くありません。それでも、尚人という人物は映画を観たあとまで強く残りました。
北原先生の言葉から考えた「正しさ」
長谷川博己が演じる北原先生も良かったです。
櫂と暁海の事情を知りながら、「こうするべきだ」と答えを押しつけるのではなく、少し離れたところから二人を見守っていました。
北原先生の言葉を正確には覚えていません。ただ、観ながら何度か考えたのは、周囲から見て正しい選択が、本人にとっても正しいとは限らないということです。
親から離れるのか、そばに残るのか。島を出るのか、そこで暮らし続けるのか。
外からなら簡単に意見を言えますが、家族への思いや、それまで過ごしてきた時間まで考えると、何が正解なのかは簡単に決められません。
北原先生自身も、一般的な形とは少し違う家族を築いていました。
落ち着いているけれど、どこか少しつかめない。長谷川博己の雰囲気が、北原先生という人物によく合っていました。
終盤で描かれた、二人の幸せな時間
映画の終盤では、暁海が櫂の書いた本を読みながら、二人の時間を振り返ります。
それまでの物語では描かれていなかった場面も交えながら、櫂と暁海の思い出が映し出されていました。
本編では家族の問題やすれ違い、病気など、苦しい場面が多く描かれています。
だからこそ、二人には映画で描かれなかった幸せな時間もあったのだと分かる回想が良かったです。
櫂と暁海の15年間は、つらい出来事だけではありません。
最後にその時間を見せてもらえたことで、二人の物語の印象も少し変わりました。
気になったところ
重い場面が続き、少し疲れた
135分という上映時間は、それほど長く感じませんでした。
ただ、櫂と暁海の家族、二人のすれ違い、尚人の出来事、終盤の病気と、重い場面が続きます。
一つひとつの場面は良かったのですが、観ながら少し疲れたのも正直なところです。
親との関係や登場人物の選択について、いろいろ考えながら観ていた影響もあると思います。
原作を読むと、さらに分かることがありそう
原作小説は未読です。
映画だけでも二人の物語は分かりましたが、人物の気持ちや背景について「原作ではもう少し詳しく描かれているのかな」と思うところもありました。
特に尚人の心情や北原先生の人物像は、原作を読むと印象が変わるかもしれません。
映画を観たことで、原作と続編の『星を編む』も読んでみたくなりました。
原作『汝、星のごとく』と続編『星を編む』
本作の原作は、凪良ゆうさんの小説『汝、星のごとく』です。
私はまだ読んでいませんが、映画では描ききれなかった登場人物の気持ちや背景も知りたいと思いました。
『星を編む』は、『汝、星のごとく』で語りきれなかった物語を収録した続編です。
こちらも未読ですが、本編で語りきれなかった人たちの物語が描かれているとのことなので、原作と一緒に読んでみたいです。
総評
『汝、星のごとく』は、櫂と暁海の恋愛と、家族に振り回されながら生きた15年間を描いた作品でした。
瀬戸内の美しい風景と、横浜流星・広瀬すずをはじめとする俳優陣の演技が良かったです。
尾野真千子と木村佳乃が演じる母親たちからは、毒親でも簡単には嫌いになれない親子関係の複雑さを感じました。
松村北斗が演じる尚人の最期も、強く印象に残っています。
重い場面が続くため少し疲れましたが、135分という上映時間の長さは気になりませんでした。
映画だけでは分からなかった部分もあるので、次は原作を読んでみたいです。
評価:3.5/5.0
30代男のひとこと
恋愛映画ではあるけれど、櫂と暁海の人生を見届けたような映画でした。
尚人の最期、かなりつらかったです。
本作は「2026年10月に映画館で観たい注目映画4選」でも紹介しています。