映画『舟を編む』感想|15年かけて辞書を作る、地道で壮大な物語【ネタバレあり】

映画『舟を編む』を観ました。

一つの言葉の意味を考え、用例を集め、何度も確認しながら一冊の辞書を作っていく。

普段何気なく使っている辞書が、これほど地道な作業と長い年月をかけて作られていることに驚きました。

個性的な登場人物たちのやり取りも面白く、全体を包む静かで温かい雰囲気も好きです。

そして、宮﨑あおいさんが可愛かったです(笑)。

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★30秒で結論

評価:★★★★☆ 4.0

映画『舟を編む』は、新しい辞書「大渡海」の完成に挑む人々を描いた作品です。

「右」をどう説明するのか。同じ言葉でも、辞書によって説明が異なる。

何気なく使っている言葉の奥深さと、完成までに15年を要する辞書作りの壮大さが伝わってきました。

馬締光也(松田龍平)と林香具矢(宮﨑あおい)の不器用な恋愛や、西岡正志(オダギリジョー)と三好麗美(池脇千鶴)の気取らない関係も魅力的です。

静かで温かい映画が好きな人、特に松田龍平さんのファンにおすすめしたい一本でした。

この映画はこんな人におすすめ

  • 静かで温かい映画が好きな人
  • 本や言葉に興味がある人
  • 地道な仕事に向き合う人々の物語が好きな人
  • 松田龍平さん、宮﨑あおいさんのファン

特に、松田龍平さんの独特な間や雰囲気が好きな人にはおすすめです。

作品情報

項目内容
作品名舟を編む
公開日2013年4月13日
上映時間133分
原作三浦しをん『舟を編む』
監督石井裕也
脚本渡辺謙作
主な出演松田龍平、宮﨑あおい、オダギリジョー、池脇千鶴、黒木華、小林薫、加藤剛ほか
配給松竹、アスミック・エース

原作小説『舟を編む』

映画では、馬締や西岡たちが15年をかけて辞書「大渡海」を編む姿が描かれます。

一つの言葉と向き合う辞書編集部の仕事や、登場人物たちの心情をより深く味わいたい方は、原作小説もチェックしてみてください。

映画と原作の違いを見比べながら読むのも、おすすめです。

あらすじ(ネタバレなし)

出版社・玄武書房の営業部で働く馬締光也(松田龍平)は、人とのコミュニケーションが苦手で、社内でも変わり者として見られていました。

しかし、言葉に対する優れた感覚を荒木公平(小林薫)に見いだされ、辞書編集部へ異動することになります。

馬締が携わるのは、見出し語24万語を収録する新しい辞書「大渡海」の編纂。

西岡正志(オダギリジョー)ら個性的な編集部員とともに、長い年月をかけた辞書作りが始まります。

一方、馬締は下宿先の大家・タケ(渡辺美佐子)の孫で、板前を目指す林香具矢(宮﨑あおい)と出会います。

※ここから先は、物語の内容に触れています。

良かったところ

15年かけて辞書を作る地道さと壮大さ

この映画で最も印象に残ったのは、辞書作りの地道さと壮大さです。

たとえば、誰でも知っている「右」という言葉。

普段は当たり前のように使っていますが、いざ説明しようとすると簡単ではありません。

同じ言葉でも辞書によって説明が異なり、どの言葉を使えば意味を正確に伝えられるのかを一つずつ考えていく。

さらに、街中で新しい言葉を探し、実際の使われ方を用例として集め続けます。

辞書はすでに存在している言葉を並べるだけではなく、変化し続ける言葉を追いかけながら作るものなのだと分かりました。

完成までにかかる時間は15年。

序盤に西岡が、完成するころには荒木が亡くなっているかもしれないと話す場面からも、その時間の長さが伝わってきます。

自分が最後まで関われるか分からなくても、先の世代へつなぐことを前提に始める仕事。

辞書作りのスケールの大きさを感じました。

タケの言葉をきっかけに会話を頑張る馬締

馬締は言葉に対する感覚には優れていますが、人と会話をすることは苦手です。

辞書作りには周囲とのコミュニケーションも必要だと知り、不安を感じていた馬締。

そんな馬締に、下宿先の大家・タケが、言葉を使う仕事なのだから頑張って話さなければと背中を押します。

それをきっかけに、馬締が不器用ながらも自分から会話をしようとする姿が印象に残りました。

無口で独特な馬締が、少しずつ人と関わろうと頑張る様子が可愛らしく、松田龍平さんにもよく合っていたと思います。

読めない恋文と香具矢の反応が可愛い

馬締と香具矢の恋愛も微笑ましかったです。

特に面白かったのが、馬締の恋文。

気持ちを伝えるために一生懸命書いたものの、筆を使い、まるで昔の恋文のような達筆で書いたため、香具矢には読むことができません。

西岡からも「なぜ筆を選んだのか」と突っ込まれます。

それでも西岡は、香具矢が馬締に興味を持っているなら、どんな手を使ってでも読むだろうと助言します。

実際に恋文を解読した香具矢が、玄関で馬締に対して、その内容を確かめるように一気に話す場面が可愛かったです。

宮﨑あおいさんがまくし立てるように話す姿は、ほかの作品でも見たことがある気がします。

何の映画だったかは思い出せませんが、宮﨑あおいさんらしい可愛さを感じる場面でした。

「恋」の語釈を、実際に恋をしている馬締が考える展開も面白かったです。

西岡と麗美が作品に明るさを加えていた

西岡は、最初から辞書作りに熱心だった人物ではありません。

それでも、馬締の恋文に助言し、「大渡海」の制作中止を防ごうと動き、企画継続の条件として宣伝部への異動を受け入れます。

辞書編集部を離れたあとも、今度は宣伝という立場から「大渡海」の完成を支える。

辞書を編む仕事そのものだけでなく、自分にできる方法で最後まで関わり続けたところが良かったです。

そんな西岡と三好麗美の関係も好きでした。

軽口をたたき合いながらも、お互いのことをよく理解している二人。

麗美は西岡を支えながら、必要なときには馬締にも状況を伝えています。

池脇千鶴さんもいい味を出していて、二人の気取らない会話が作品に明るさを加えていました。

収録漏れを全員で確認する終盤の一体感

「大渡海」の完成直前、アルバイトの江川(森岡龍)が、「血潮」という言葉が収録されていないことに気づきます。

一つ抜けているなら、ほかにも収録漏れがあるかもしれない。

そこで編集部の全員が集まり、膨大な用例カードを一枚ずつ見直していきます。

完成目前でも妥協せず、全員で確認作業に取りかかる姿に一体感がありました。

同時に、一冊の辞書を作るために必要な作業量の多さにも驚かされます。

15年かけて作っても、最後まで確認を重ねなければならない。辞書作りの地道さと大変さがよく伝わる場面でした。

完成を見届けられなかった松本先生

「大渡海」を監修してきた松本朋佑(加藤剛)は、辞書の完成を見届けることなく亡くなります。

高齢になってから15年かかる辞書作りを始めた以上、自分が完成を見届けられない可能性は、松本先生自身もどこかで覚悟していたのかもしれません。

それでも「大渡海」の完成を目指し、荒木や馬締たちへ辞書作りを託していく。

完成を見届けられなかったことは切なかったですが、松本先生の姿から、辞書作りに懸ける思いの強さを感じました。

気になったところ

大きな不満はなかった

大きく気になったところはありませんでした。

派手な展開が続く映画ではありませんが、辞書作りの過程や登場人物たちの関係が丁寧に描かれており、最後まで楽しめました。

総評

映画『舟を編む』は、一冊の辞書を作るために積み重ねられる、膨大な時間と作業を描いた作品でした。

一つの言葉の意味を考え、用例を集め、何度も確認する。

それを15年続けても、完成直前に抜けが見つかることもあります。

辞書作りの地道さと壮大さを感じる一方で、馬締と香具矢の恋愛や、西岡と麗美のやり取りには温かさと面白さがありました。

静かな物語ですが、個性的な登場人物たちのおかげで堅苦しさはありません。

普段何気なく使っている辞書が、多くの人の時間と思いによって作られていることを知れる映画でした。

評価:★★★★☆ 4.0

30代男のひとこと

完成まで15年。

自分が最後まで見届けられるか分からなくても、次の人へ託すことを前提に辞書を作り始める。

普段使っている辞書の見え方が少し変わりました。

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